ソフトウェア概要

桜開花シミュレーターは、気象庁や農業研究機関で用いられる休眠覚醒モデル(DTS/DTF法)をはじめとする3種類の科学的開花予測モデルを搭載した、ブラウザで動作する気象シミュレーションソフトウェアです。

北海道・札幌から沖縄・那覇まで全国23地点の開花日・満開日を計算し、過去50年間(1975〜2024年)の開花履歴を再現します。温暖化シナリオや異常気象を想定した気温オフセット機能も備え、将来の桜前線の変化も体験できます。

HTML・CSS・JavaScriptのみで動作し、インストール不要。ブラウザさえあれば誰でも使えます。

🌡️
このソフトウェアで使用する気温データは、正弦波気候モデルと疑似乱数による統計的シミュレーションです。各地点の緯度・平均気温・温暖化トレンドに基づいて日次気温を生成しており、実際の気象観測データとは異なります。

主な機能

🧮

3モデル開花計算

DTS法・吉野モデル・坂本モデルの3種を切り替えて計算。モデルごとの予測の違いを比較できます。

📅

過去50年の再現

1975〜2024年の各年の開花日を一覧表示。平年差・気温傾向(暖冬/寒春)を色分けで視覚化します。

📈

積算温度グラフ

1年を通じた積算温度(DTF)の推移を折れ線グラフで表示。日平均気温も二軸でオーバーレイします。

🗾

全国23地点対応

札幌から那覇まで、各地点の緯度・基準気温・温暖化トレンドを個別にパラメータ化して計算します。

🌡️

気温オフセット調整

±3℃の気温補正で温暖化・冷夏シナリオをシミュレーション。未来の桜前線の変化を体感できます。

📊

統計分析タブ

50年間の平均・最早・最晩・標準偏差・トレンドを自動集計。棒グラフで平年差の推移を確認できます。

🌸

開花ステージ表示

休眠→覚醒→一輪開花→満開→散り完了の5段階を日付付きで表示。現在のステージをハイライトします。

🌲

桜の木 ビジュアル

Canvasで描かれたリアルタイムの桜の木。開花日に応じて花の色と密度が変化します。

開花予測モデルの解説

本ソフトウェアは以下の3つの科学的モデルを搭載しています。いずれも「低温で休眠を覚ます」→「高温で開花を促進する」という桜の生理を数式化したものです。

モデル名 原理 計算方法 特徴
DTS法推奨 休眠覚醒・加温複合 チリング要求量(DTS)500単位達成後、加温積算温度(DTF)240℃超で開花 気象庁・農業研究センターが採用する最も精度の高い手法。低温期と高温期を独立に評価する
吉野モデル 積算温度法 2月中旬以降、日平均気温6℃超の積算が200℃を超えた日を開花日とする 古典的・シンプルで計算が速い。西日本など温暖地域での精度が高い傾向がある
坂本モデル 低温要求・高温積算複合 5℃以下の日が50日累積(低温要求充足)後、5℃超の積算温度220℃超で開花 寒冷地・高標高地点に向いたモデル。東北・北海道での予測に優れる
DTS法 — チリング計算式
DTS += (7.2℃ − T)  (0℃ < T < 7.2℃ のとき、10月以降)
DTF += (T − 4.5℃)  (休眠覚醒後、T > 4.5℃ のとき)

T = 日平均気温 / DTS累積が500を超えると「休眠覚醒」と判定 / DTF累積が240を超えた日が「開花日」、372を超えた日が「満開日」

吉野モデル — 積算温度計算式
Accum += (T − 6.0℃)  (T > 6℃ かつ 2月中旬以降)
Accum ≥ 200℃ → 開花日

最もシンプルな手法。地点によって閾値を185〜205℃に調整します。

使い方・操作手順

1

地点を選ぶ

左側の地点選択ドロップダウンから、計算したい都市を選択します。全国23地点から選べます。

2

計算年を設定する

計算年スライダーを動かして1975〜2024年の範囲で年を選びます。スライダーの値がリアルタイムで表示されます。

3

(任意)気温オフセットを調整する

気温オフセットスライダーで±3℃の補正を加えられます。温暖化(+側)や冷夏(−側)のシナリオを試すのに使います。

4

モデルを選ぶ

モデルドロップダウンでDTS法・吉野モデル・坂本モデルのいずれかを選択します。迷ったらDTS法(推奨)を使ってください。

5

「開花日を計算する」ボタンを押す

ボタンを押すと開花日・満開日・花見最適日が表示されます。グラフ・過去50年・統計の3タブで結果を詳しく確認できます。

💡
花見最適日は「満開日+2〜5日」として計算されます。満開を少し過ぎた頃が散り始めで、風に舞う花びらも楽しめる最も美しい時期です。

開花ステージの定義

桜の開花過程は5つのステージに分けられます。本ソフトウェアでは各ステージの推定日付を計算し、現在の状態をリアルタイムにハイライト表示します。

🌑
休眠期
冬季。花芽が活動を停止し、低温によって休眠覚醒を待つ状態
🌱
覚醒期
十分な低温積算(チリング)後、花芽が目を覚まし生長を再開
🌷
一輪開花
気象庁基準の「開花宣言」。標本木で5〜6輪の開花を確認した日
🌸
満開
標本木の花が80%以上開いた状態。花見の最盛期
🍃
散り完了
花びらが散り、若葉が伸び始める。満開から約2週間後

対応地点一覧(全23地点)

各地点は緯度・年平均気温・温暖化トレンド(℃/年)・春季気温振れ幅の4パラメータで定義されています。北から順に一覧を示します。

札幌(北海道)
青森
秋田
仙台(宮城)
新潟
長野
金沢(石川)
東京(千代田区)
千葉
横浜(神奈川)
静岡
名古屋(愛知)
京都
大阪
神戸(兵庫)
広島
高松(香川)
松山(愛媛)
福岡
長崎
熊本
鹿児島
那覇(沖縄)
📌
沖縄・那覇では寒緋桜(カンヒザクラ)が主流で、開花時期は1月下旬〜2月頃です。本ソフトウェアでは那覇の基準開花日をDOY 40(2月上旬)として設定しています。

技術仕様

項目内容
動作環境モダンブラウザ(Chrome / Firefox / Safari / Edge)。インストール不要
使用言語HTML5 / CSS3 / JavaScript(ES2020)
外部ライブラリChart.js 4.4.1(グラフ描画)、Google Fonts(Noto Serif JP / Shippori Mincho / JetBrains Mono)
気温モデル正弦波季節変動+線形温暖化トレンド+疑似乱数(シード付き)による日次気温生成
乱数方式sin関数ベースの決定論的疑似乱数(同一年・地点では常に同じ結果を返す再現性保証)
グラフ描画Canvas 2D API(Chart.js)および純粋なCanvas APIで桜の木を描画
計算量1地点・1年:約365ステップ / 過去50年計算:約18,250ステップ(30ms以内に完了)
データ保存外部通信なし。すべてブラウザ内メモリで完結
🔁
気温生成に使用する疑似乱数は年・月・緯度をシードとした決定論的アルゴリズムを採用しています。このため、同じ設定で何度計算しても必ず同一の結果が得られ、「再現性」が保証されています。