1. ソフトウェアの概要
本ソフトウェアは、今から約6000年前の縄文時代前期に発生した「縄文海進(じょうもんかいしん)」の様子を、現在のデジタル地図上に視覚的に再現するWebベースのシミュレーターです。
国土地理院が提供する最新の標高データを利用し、任意の海面上昇レベルに応じた浸水域をリアルタイムで計算・描画します。
主な目的:
- 縄文時代の海岸線の変化を視覚的に理解する。
- 関東平野の奥深くまで海が入り込んでいた「奥東京湾」や「古入間湾」の規模を確認する。
- 標高と地形の関係を直感的に学習する。
2. 科学的背景:縄文海進とは
地球温暖化の影響により、氷河が融けて海面が上昇した現象です。最盛期の約6000年前には、海面が現在よりも2〜5メートル程度高かったと推定されています。
- 関東地方への影響: 当時の海岸線は現在より数km〜数十km内陸にあり、埼玉県の川越市、越谷市、春日部市などの低地は海(入り江)となっていました。
- 考古学的証拠: 貝塚(当時のゴミ捨て場)が現在の内陸部(台地の縁)に多く分布していることは、そこがかつての海岸線であったことを示しています。
3. 技術的仕様
| 項目 |
使用技術・データ |
| ベースマップ |
国土地理院:淡色地図タイル(視認性を高めるため) |
| 標高データソース |
国土地理院:標高タイル(DEM10B / dem_png形式) |
| 地図ライブラリ |
Leaflet.js(オープンソースのJavaScript地図ライブラリ) |
| 描画エンジン |
HTML5 Canvas API によるピクセル単位の動的処理 |
| 言語 |
HTML5, CSS3, JavaScript (ES6) |
4. 仕組みの解説
本ソフトウェアは、以下のステップで「海」を描画しています。
- データ取得: 地図の表示範囲に合わせて、標高情報がRGB値に埋め込まれたPNG画像(標高タイル)を読み込みます。
- 標高計算: 画像の各ピクセルの色(R, G, B)を取得し、地理院の定義式
x = 2^16R + 2^8G + B を用いて、その地点の標高を算出します。
- 判定と着色: 算出された標高が、ユーザーが設定した海面上昇量(スライダーの値)以下である場合、そのピクセルを鮮やかな青色に塗りつぶします。
- 動的更新: スライダーを動かすたびに Canvas 全体を再描画(redraw)することで、リアルタイムなシミュレーションを実現しています。
5. 注意事項と免責事項
- 地形の変化: 本ソフトは現在の標高データを基に計算しています。縄文時代以降、河川の堆積作用や大規模な埋め立て、都市開発、地盤沈下などにより地形は大きく変化しているため、当時の正確な海岸線を100%再現するものではありません。
- 精度: 使用しているDEM10B(10mメッシュ)は高い精度を持ちますが、細かなビルや高架構造物の影響が含まれる場合があります。
- ブラウザ: 最新の Google Chrome、Microsoft Edge、Safari 等での動作を推奨します。